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2008年02月10日 11:31
サボるなよ、自社株買い (寸人)[V作戦]> [寸人]
▽・・・2月5日の取締役会で1000万株(600億円)の自己株式の取得を決めたトヨタ自動車の株価は全般の地合いに逆行する形となり、発表翌日から一時は3日続伸となった。取得期間は2月7日から22日まで。昨年6月の株主総会で3000万株(2500億円)の取得枠を設定した後、2000万株までを購入、残っていた1000万株分の購入を決めたものだ。
トヨタのケースが好感されるのは、自社株買いと同時に保有株のうち1億6200万株の消却を行うことだろう。自社株買いは市場での買い付けという直接的に需給に働きかける効果が期待されるものの、金庫株として発行株式がそのまま残されると理論的には1株当たりの株式価値を高める効果はない。金庫から出して再び市場で売却されるという警戒感も抱かれる。買い付けた株式は消却しないと株主への利益還元にはならない。 ▽・・・今回の株価暴落局面では自社株買いに踏み切る企業が意外に少ない、という印象が強かったが、どうだろう。昨年8月のサブプラショックによる暴落局面では、1ヶ月で9538億円もの自社株買いの届出(東証ベース)が行われたが、株価が戻った9月にはそれが3704億円に減少し、12月には再び増加しているものの月間4409億円と8月に比べると半分以下の水準にとどまっている。危機意識は12月の方が強かっただろうに…。 ただ、届出の社数でみると、8月の164社に対し、12月が219社であり、自社株買いを実施する企業数は増えているのだ。要するに、金額が大きい大企業がサボっているということだろう。 自社株買いは経営者による市場へのメッセージであるとしばしばいわれる。市場関係者が「日本株は歴史的に割安」といったところで実際に買いが入らなければ、空疎な言葉でしかない。そうしたマーケットが発する「割安さ」の声に対し、身をもって応えるのが自社株買いという行為である。保有するキャッシュフローの一部を市場に返すという行為が国民経済的にみてどんな効果があるかについて自覚的な企業であるなら、ここで自社株買いに踏み切ることは一種の義務でもあろう。 ▽・・・ともかく、トヨタが動いたことで、他の企業にも影響を与える可能性が大きくなってきた。実際、8日には大日本印刷が2500万株(500億円)の自社株設定、を2月12日から6月30日の間に買い付けると発表した(この大日本も1000万株の自社株消却を同時に発表している)。あと、角川グループ、三和HD、グンゼ、博報堂DYなども名乗りを上げている。こうした動きが広がれば、マーケットが「買い手不在」などといわれる不名誉な状態から脱する端著ともなるだろう。 さらに、反省すべきは、すでに自社株取得の枠を設定しながら、いまだに取得枠を使い切っていない企業である(トヨタもそうだった)。取得枠設定は株主との約束である。株価が下がっているにもかかわらず、動かないのは約束違反というべきだ。切迫した局面で果敢に動けるかどうか、そのセンスも問われているのだ。 ▽・・・各社のリリースをもとに調べてみると、松下電器は07年4月27日の取締役会決議によって5000万株(1000億円)を上限に08年3月下旬までに行うべき自社株買いを3453万株(800億円弱)しか実施していない(07年11月21日現在)し、ゼンリンは07年7月31日決議による100万株(35億円)買付けのうち昨年末までの実績は32万株と3分の一しかない(期限は3月31日)。大東建託にいたっては、347万株(187億円)上限の自社株買いが48万株(28億円)と、2割の実績でしかない(07年8月31日現在。その後のリリースなし)。 半年近くたっても何もしないという時間感覚の乏しさは理解できない。3月中を実施期限としている企業が多く、恐らく、これまでサボってきた企業によって駆け込み買い付けが行われることになるだろう。 (寸人)
Posted by stock at 11:31
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