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2009年03月03日 10:58
覚悟を問う(3)―野村證券 奥村綱雄氏・氏家純一氏― (如空)[V作戦]> [如空]
前回(2月24日)より続く。 前回は、カルロス・ゴーン氏による日産自動車改革と、塙義一氏の役割について考えた。企業存亡の危機からの生還は、日産だけではない。もう少し見てみる。 ▽・・・野村證券。かなり以前から現在に至るまで日本でトップの証券会社だ。しかし、その歴史は崖っぷちからの生還の繰り返しだ。2つほど引こう。まず、戦後間もなくのこと。GHQの財閥解体により野村は1946年に財閥に指定され、首脳陣が公職追放となった。これを受け、野村證券の社長に就任したのが奥村綱雄氏。当時45歳。彼は社長就任前は専務取締役だったが、出世が遅れたことで公職追放を免れたそうだ。出世が遅れたと言っても、44歳にして専務取締役だ。戦後間もない頃の日本企業の経営陣がいかに若かったかが窺える。敗戦の挫折から立ち直るには、戦前や戦中の成功体験は経営のプラスになることはあまりなかったのかもしれない。予想外のきっかけで社長に就任した奥村綱雄氏だが、後に「野村證券中興の祖」とまで言われる名経営者と伝えられている。 ▽・・・野村證券の経営陣がガラリと入れ替わったことが、戦後もう一度ある。1997年の証券不祥事の時だ。総会屋に対する利益供与事件により、マスコミでは「悪の権化」の如くに叩きまくられ、すさまじい社会的制裁を受けた。この時、危機を乗り切るために野村が選択したのは、やはり経営陣の若返りだった。1997年新春号と1997年夏号の会社四季報で、野村證券の役員欄を比べてみると、新春号に掲載されている副社長5人、専務5人は夏号には1人も載っていない。「副社長」についてはポストそのものがなくなっている。専務以上で名前が残ったのは鈴木政志会長ただ1人だ。鈴木会長は業界の取りまとめでどうしても残る必要があったそうだ。この時、社長に就いたのが氏家純一氏。当時51歳。野村證券で初の戦後生まれの社長となった。 ▽・・・当時、野村の社員の間でも「氏家さん?それ誰?」といった程度しか知られていなかったそうだ。しかし氏家純一氏は、「頼りない」「大丈夫か?」といった周囲の心配をよそに、その後約10年にわたって野村のトップを務めることになる。氏家体制発足時には副社長はおらず、専務は2人のみ。非常にシンプルな経営体制だった。多くの役員が証券不祥事で引責辞任した結果なのだが、氏家氏の若さを十分に発揮できる体制が「瓢箪からコマ」のように一瞬にしてできあがったのだ。前回の当欄で見た、塙義一氏が苦労して作った若い経営陣が野村では労せずしてできてしまったとも言える。 ▽・・・塙義一氏は強い意志を持って経営の若返りを進めた。今回は、予想だにしない事態により若返らざるを得なかった野村證券の例を引いた。いずれにしても、崖っぷちからの生還には従来の成功体験や知識はあまり役に立たないのかもしれない。 ▽・・・今の日本企業はどうだろう。百年に一度と言われる危機の最中にあって、大企業の経営者はあまりにも多くの成功体験を拠り所としてはいないだろうか。 次回(3月10日予定)に続く。 (如空)
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Posted by stock at 10:58
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